「この症状に効く!漢方薬ナビ」シリーズ第3回は、女性のこころとからだの不調に広く使われる漢方薬、加味逍遥散を取り上げます。
🌼 加味逍遥散ってどんな漢方?
**加味逍遥散(かみしょうようさん)**は、もともと「逍遥散」に数種の生薬(加味)を加えた処方で、気(心の働き)と血(血行・栄養)を整え、情緒の安定を助ける漢方です。
女性のホルモンバランスによる不調(PMS、更年期症状)や、ストレスでのイライラ・頭痛・ほてりに使われることが多い処方です。
🔍 どんな症状に向く?
- 生理前のイライラ・情緒不安定(PMS)
- 乗り物酔いや頭痛、肩こりを伴うストレス型の不調
- 更年期のほてり・のぼせ・気分の波
- 軽い不眠や眠りが浅いと感じるとき
ポイント:「イライラ」「憂うつ」「のぼせ」など心身の不調が混在している状態に合うことが多いです。
🧾 主な生薬(代表例)と作用イメージ
- 柴胡(さいこ) — 気の流れを整える、気分の浮き沈みをやわらげる
- 当帰(とうき) — 血を補い、冷えや血行不良に働く
- 芍薬(しゃくやく) — 筋の緊張を和らげ、痛みをやわらげる
- 薬味として甘草や薄荷などが入ることもあり、全体で「気血のバランスを整える」処方になります
(処方は製剤メーカーや処方方針で若干の違いがあります。)
💊 用法(一般的な目安)
- 市販されているエキス顆粒・医療用エキスは 通常、1日2〜3回 に分けて服用するケースが多いです。
- 飲むタイミングは処方や製剤により異なりますが、食前・食間を指示されることが一般的です。
- 続けて飲むことで体調が整うタイプの漢方なので、まずは2〜4週間程度を目安に様子をみることが多いです。
注意:用法用量は製品・処方・年齢・既往歴によって変わります。必ず添付文書や医師・薬剤師の指示に従ってください。
⚠️ 注意点・併用で気をつけること
- 抗凝固薬(ワルファリン等)やホルモン治療薬など、ほかの薬と相互作用を起こす可能性があるため、現在の内服薬がある場合は必ず報告してください。
- 妊娠中・授乳中の使用は医師に相談を(処方によっては避けられることがあります)。
- 長期間使用しても改善が見られない、症状が悪化する、強い発疹や呼吸困難などが出た場合は直ちに服用を中止して医療機関へ。
- 体質によってはのぼせ感や胃の不調が出る場合があるため、違和感があれば相談を。
🏪 市販品・病院処方の違い
- 市販のエキス顆粒(OTC)でも手に入るブランドがありますが、処方薬とは含量や製剤が異なる場合があります。
- 持病や服用薬がある方は、医師に相談して処方してもらうと安心です。
👩⚕️ 最後に
加味逍遥散は「気分の波」「女性特有の不調」に寄り添う処方として使いやすい一方、“誰にでも効く万能薬”ではありません。
症状の背景(生活習慣、食事、睡眠、ストレス源)を一緒に見直すことが大切です。漢方は「体質を整える」治療なので、続けて様子を見ることをおすすめします。
📝 まとめ(早見表)
| テーマ | 加味逍遥散(かみしょうようさん) |
|---|---|
| 主な適応 | PMS・更年期症状・ストレス性のイライラ、軽い不眠 |
| 飲み方の目安 | 一般に1日2〜3回、食前・食間が多い。2〜4週で効果を確認 |
| 注意点 | 他薬との相互作用、妊娠・授乳時は要相談、副作用出たら中止 |
| 市販/処方 | OTCあり・処方薬あり。症状・既往で選ぶと安全 |