そのレシート、ゴミ箱行きはまだ早い!?薬局からはじめる「賢い節税」

レシートがお宝に変わる節税ガイド.pdf
今年も残すところあとわずか。 年末の大掃除で引き出しを整理していて、クシャッとなったドラッグストアのレシートを見つけたあなた。
**「どうせゴミだし…」**と捨てようとしていませんか?
ちょっと待ったーーーっ!!
実はそのレシート、「お金」に変わるプラチナチケットかもしれないんです。
今回は、私たち薬局が全力でオススメする、知らなきゃ損する国の制度**「セルフメディケーション税制」**について徹底解説します。 制度の仕組みから、スマホでできる申請方法まで、この記事ひとつですべて分かりますよ!
第1章:そもそも「セルフメディケーション税制」って?
難しい言葉ですが、簡単に言うと**「薬局でお薬を買って、自分で健康管理をした人へのご褒美制度」**です。
病院に行くほどではないけれど、風邪気味だったり、腰が痛かったり…。 そんな時に、すぐに病院へ駆け込むのではなく、薬局の市販薬(OTC医薬品)を上手に使って治すことを「セルフメディケーション」と言います。
国はこれを応援していて、 「対象の市販薬を年間12,000円以上買った人は、税金を安くします!」 というルールを作ったのです。
「医療費控除」と何が違うの?
従来の「医療費控除」は、ハードルが「年間10万円」と高めでした。 しかし、このセルフメディケーション税制のハードルは、なんと**「年間 1万2,000円」**!
これなら、「あれ?自分も届くかも?」と思いませんか? (※医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方しか使えません。計算して有利な方を選びましょう!)
第2章:対象商品をチェック!
薬局にあるすべてのお薬が対象ではありませんが、風邪薬や痛み止めなど、身近な多くの商品が対象です。
【目印はこのマーク!】 お薬のパッケージ(箱)に、**「セルフメディケーション税 控除対象」**という共通マークがついていればOK!レシートの商品名の横に「★」や「セ」などの印があることも多いです。
【主な対象薬の例】
- 風邪薬(総合感冒薬)
- 解熱鎮痛剤(頭痛・生理痛・腰痛など)
- 胃腸薬
- 湿布・貼り薬(肩こり・関節痛)
- 花粉症・アレルギー用薬
- 水虫用薬 など
迷ったときは、店頭で薬剤師や登録販売者に「これって税制対象?」と気軽に聞いてくださいね!
第3章:家族みんなの分を「合算」しよう!
「一人暮らしだし、1万2,000円もいかないかな…」 そう思った方も諦めないでください。ここにお得なテクニックがあります!
1. 家族全員分を「合体」できる!
「生計を一にする(お財布が一緒の)」家族であれば、全員分の購入額を合計できます。 お父さんの腰痛湿布、お母さんの頭痛薬、お子様の風邪シロップ…全部足せば、意外とクリアできる金額です。
2. 「一番稼いでいる人」が申告すべし!
ここが一番のポイントです。 この制度は、支払った税金が戻ってくる仕組み。日本の税制では、**「所得が多い人ほど税率が高い」**ようになっています。
つまり、同じレシートの束でも、パートの主婦(夫)が申告するより、会社員の夫(妻)が申告したほうが、**戻ってくる金額が大きくなる(節税効果が高い)**ケースがほとんど! 家族会議をして、誰の名前で申告するか決めるのが「賢い家計」のコツです
第4章:会社員(会社従業員)の方へ(要注意!)
「会社員だから、年末調整で終わってるよ」 と思っている方、**ここが最大の落とし穴です!**
この制度は、会社の年末調整では手続きできません!
会社はあなたがプライベートでどのお薬を買ったかまでは把握していません。 そのため、これだけは自分で「確定申告」をする必要があるのです。
「確定申告なんて難しそう…」と身構える必要はありません。 今はスマホひとつで完結する時代です!
第5章:スマホで完結!申請マニュアル
それでは、実際にどうやってお金を取り戻すのか、3ステップで解説します。
STEP 1 「レシート」の仕分け&集計
まず、1月1日~12月31日の日付が入った薬局のレシートを集めます。
- 対象商品(マーク付きの商品)だけをピックアップ。
- 国税庁HPから**「セルフメディケーション税制の明細書」**(エクセル等)をダウンロード。
- 「薬局名」「薬の名前」「金額」を入力するだけで、自動計算完了! (※レシートの原本は提出不要ですが、自宅で5年間保管する必要があります。捨てずに保管してください!)
STEP 2 必要書類の準備
スマホ入力の前に、手元にこの2つを用意してください。
- 源泉徴収票(会社から年末にもらう紙)
- 健康診断の結果など (この制度を使う条件として、会社の健診や予防接種などを受けている必要があります。結果通知表は提出不要ですが、保管しておきましょう)
STEP 3 「e-Tax(イータックス)」送信!
わざわざ税務署に行く必要はありません。
- スマホで「国税庁 確定申告書等作成コーナー」へアクセス。
- 源泉徴収票の数字と、STEP1で作った薬代の合計額を入力。
- マイナンバーカードで認証して送信!
これで完了です!早ければ2~3週間後には、指定口座にお金が振り込まれます
まとめ:薬局はあなたの「健康パートナー」
いかがでしたか? 「ただお薬を買う」という行為が、少しの手間で「節税」につながるなんて、活用しない手はありませんよね。
私たち薬局は、皆様がご自身の体調に合わせて適切なお薬を選べるよう、いつでも相談をお待ちしています。
【今日からのアクション!】
- お家のレシートを「発掘」する!
- これからはレシート専用の箱を作る!
- お薬選びに迷ったら、すぐに私たちに相談する!
賢く制度を使って、健康とお金、両方大事にしていきましょう! 皆様のご来店を心よりお待ちしております
参考リンク集(もっと詳しく知りたい方へ)
記事の中で紹介した情報の「公式ページ」はこちらです。 最新の情報や、対象医薬品のリストなどは、こちらからチェックできます!
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厚生労働省:セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について 制度の仕組みや、対象となるお薬の詳しいリスト(成分名など)が掲載されています。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
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日本一般用医薬品連合会:知ってトクする セルフメディケーション税制 対象商品のパッケージにつくマークの解説や、具体的な対象品目の検索ができます。 https://www.jfsmi.jp/lp/tax/
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国税庁:セルフメディケーション税制と通常の医療費控除との選択適用 「どっちがお得なの?」と迷った時に役立つ、税金のプロによる解説ページです。 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1131.htm
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国税庁:確定申告書等作成コーナー スマホやパソコンから申請を作成する時は、ここからスタート! https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top